米国のファッションサイト「GILT」について調べてみた。

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http://www.flickr.com/photos/98718564@N00/9609994334
おつおつ、blankfeinです。
ライターとしてたまに寄稿させてもらってるコンテンツマーケティングの会社があるんですけど、そこで、「人材を重視する企業ほど企業価値があがる」って流れで書いてくれとのリクエストがあった。で、米国のファッションサイトのGILTって会社のエピソードを入れてくれと。GILTについてblankfeinは知らなかったので、とりあえず調べてみた。

米ファッションサイト「GILT」とは

www.techwatch.jp
とりあえず、この記事からわかったことを列挙していくと、

  • ユーザーは900万人(200万人弱が日本人ユーザー)
  • CEOは女性で、名前はMichelle Peluso
  • シリーズEまでの資金調達で合計2億ドル以上を著名投資家から集めている

CEOはハーバード出身らしい。シリーズEっていうのは、出資の段階のことね。シリーズAが初期の出資。シリーズBが増資。シリーズEはだいぶあとの増資やね。

  • 3000のファッションブランドと提携しており、オンラインではなく、各都市のローカルファッションブランドを含めると6000のブランドと提携している
  • 36時間限定セールがカギだった
  • 競合はアマゾン

日本では、アマゾンと楽天が競合になるだろう。

  • 「上場は急いでいない」とのこと
  • ソフトバンクとジョイント・ベンチャーという形で提携
  • 日本以外に重視しているのは、中国、韓国、オーストラリア、カナダ

とね。ちょいとイメージがつかめてきた。ソフトバンクが出資していたのが意外で驚き。

GILTについてネガティブな印象の記事も見つけたので、紹介しておく

thebridge.jp
マイナスな記事も発見したので、載せておく。The Bridgeの三橋さんってけっこう有名なライターさんだよな。ベルリン在住だっけ?重要なポイントについて抜粋しておく。

  • ラグジュアリーブランドのフラッシュセールとして始まった「Gilt」について。4年前には超ホットなスタートアップだったのに、どうしちゃったの?と。
  • 今年2月16日には5,000万ドルを調達したし、2014年末に噂されていたIPOがしばらくないことが明確になった。2012年12月に新しくGiltのCEOに就任したMichelle Pelusoのもと、新たに調達したお金を使ってどう再起していくのか。
  • 2007年の立ち上げ後、初のフラッシュセールはクリスチャンルブタンの50%OFFの靴。これを目当てに大量のユーザーが押し寄せて、サイトがダウンしてしまうほどの勢いだった。その後、フラッシュセールという形態がトレンドとなり、その先陣を切ったGiltの初年度の売上げは予測を7倍上回った。2011年5月には、10億ドルの評価額で1億3800万ドルを調達。

フラッシュセールね。フラッシュマーケティングとも言うみたいで、Webマーケティングの手法の一種。期間限定で割引価格の特典をつけるみたいな。

  • ところが、2012年にはその勢いも下降気味に。事業を黒字化できず、同年には社員の10%を解雇。Giltの元社員は、「2009年から2011年はGiltにとってのティーンエイジ時代。自分が何者なのかを模索していた」とのこと。そんな中、RueLaLaやHauteLookといった競合が登場し、Giltは正規価格のEコマース、トラベル、フードにまで手をだすように。ここにリソースを注いだことで、フラッシュセールのコア事業でリソースが足りなくなった。
  • Fabのお話にも似ているけれど、コア事業を見失って急速に事業を拡大しすぎたというところ。Giltの最も大切なユーザーは誰なのか、彼女達に提供している最大のバリューは何なのか。
  • 今は、900万人のユーザーが喜ぶディールを提供し続ける新しい方法を模索中。というのも、ラグジュアリーブランドだってブランドの毀損に繋がるセール販売はできればやりたくない。もう、そこまで不況じゃないと。Gilt限定リリースの商品を扱ってみたり、現地のデザイナーを発掘するなどしてグローバル事業にも注力していく予定だそう。Giltが今後どんなカムバックを見せるのか、乞うご期待。

なるへそね。創業がリーマンショックの頃だけど、当時はまったく服が売れなかったんで、在庫を掃きたくて、こういうサービスが流行ったのかもしれないねえ。

書籍「GILT-ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー」

www.amazon.co.jp
すでに書籍が出版されているようだ。あとで読んでみるか。内容紹介についてちょっと抜粋。

最高の仲間がいれば、リスクなんて怖くない! 保守的な超一流ブランドを次々と口説き、3年半でオンラインセール「ギルト」を10億ドル企業に育てた挑戦の日々。
ギルトは、有名ブランドを数日限定、半額以下で提供するオンラインセールのサービス。2007年11月にサービスを開始後に急成長し、2009年には日本にも進出した注目のスタートアップだ。本書では、創業者である女性二人が、どう考え、どう動き、サービスを生み、育てたかを自ら語っている。イノベーション、新規事業、起業にはなにが必要なのかを明らかにする最高のケーススタディであり、成功ストーリーである。

ビジネスモデルは別に普通だし、有名ブランドを口説けた理由は、CEOの魅力かねえ。レビューも少し紹介する。

ITとファッションでベンチャー企業を成功させた二人のハーバードビジネススクール卒業生のサクセス・ストーリー。ただ、その成功への道のりは平坦ではなく、二人がこれまで別々のキャリアを通じて積み上げて来た専門性や人脈、チームとしてのCapabilityの組合せとチームワークの良さがなければ成功には至っていないであろうことも容易に想像出来る。
一つのベンチャー物語として読んでいてアメリカンドリームを感じることが出来るのみならず、ベンチャーとして成功するには何が必要か、チェックリストを含めて実地の教科書としても役立つ内容となっている。

IT畑とファッション畑の起業ね。こういう2人で起業するのはいいよね。ライフネット生命も、保険畑の出口さんと新進気鋭の若手エリート岩瀬さんがタッグ組んだから、資金調達できた。レビューをもういっちょ。

2009年11月、モデルのマリエをギルトのバイヤー担当に任命
日本では顧客層は3分の2が女性で残り3分の1が男性、30歳前後のファッション好き世代と40歳前後のバブル体験世代の2つのヤマがある。リピーターは30%以上。
2008年~10年:桑野克己氏、ギルト・グループ株式会社 代表取締役社長 兼 米国本社副社長
2011年1月、桑野克己氏はルビー・グループをギルトの初期メンバーとともに創業
2011年、会員は75万人を超えた
2011年10月、ソフトバンクが6250万ドル(約52億円)もの巨額を投資し、さらに、ギルト・グループ・ジャパンとの合弁会社を設立
2012年、取り扱いブランドは拡大して1000以上に、会員も100万人を突破
2013年4月、本書が日本で出版。解説はソフトバンク孫正義社長の弟、孫泰蔵氏。
2013年6月、日本初!超高級Eコマース『MyGOD.jp』OPEN。
株式会社MyGOD代表取締役社長 兼 CEOは桑野克己氏。

だいぶイメージがつかめてきたね。孫泰蔵氏が解説を書いているとは驚き。

日経BP社の特集も参考になるよ

www.nikkeibp.co.jp

  • 3.5年で会社評価額が1000億円を超えるほどに成長
  • ドルチェ&ガッバーナ、ヴァレンティノなど、有名ファッションブランドの洋服やバッグなどを半額以下で販売
  • 日本でも2009年にサービスを開始

日本でも2009年からサービス開始してるってのが驚き。全然知らなかった。

  • GILTが登場した2007年当時、ファッションブランドにとってネットで商品を売るなどとんでもないという状況だった。さらには、値引きをするという。ネットのようなよく分からない場所で値引き販売されたら、ブランドイメージは地に落ちると考えたのである。
  • スティーブ・ジョブズは、実現困難なことでも、実行可能な気にさせてしまう「現実歪曲空間」を持っていると言われ、保守的な音楽レーベルを次々と同社の音楽配信サービスへと楽曲を提供させたことで有名だ。では、GILTの創業者も巧みなプレゼンや話術の使い手だったのだろうか?
  • GILTの共同創業者は、ハーバード大学出身の女性二人組だ。一人は、米イーベイの創業期にイーベイ・カナダを立ち上げるなど活躍したアレクシス・メイバンク。もう一人は、ルイ・ヴィトンやブルガリなどで働いていたアレクサンドラ・ウィルキス・ウィルソンだ。いうなれば、アレクシスがネットのエキスパートであり、アレクサンドラがファッション業界のプロである。

ビジネスモデルっていうよりかは、人間的な魅力で資金調達を勝ち取った。

  • この仕組みは必ず魅力となるはずだ、ということで私たち二人の意見は変わらなかった。理由は簡単だ。パスワードで保護されたサイトならば、登録の壁に阻まれてグーグルで検索できない。つまりギルトで販売されるブランド名は、検索に引っかかってこない。ブランドは自分たちの商品を大事に扱いたい。高級品としての位置づけをしっかり維持したいから、ネット上で値引き商品の情報が出回ることを望んでいない。―『GILT』p147から
  • アレクサンドラは、ギルトで購入するほうが、サンプルセールやアウトレットショップでの買物より、顧客はより高級感を味わえるし、楽しいショッピング体験ができる、と強調した。チェーン店では過剰生産されたデザイナーズブランドの商品が山積みされ、大幅な割引率で販売されている。ギルトのセールでは、そういった小売店とは違って、ブランドの高級感を損なわずに販売できる。―『GILT』p146から
  • アレクサンドラは他人のために惜しみなく時間を使ってきた。頼まれれば友人や知人の子どもの相談に乗り、紹介の労を惜しまず、昇進したと聞けばお祝いの手書きのカードを送り、誕生日を忘れなかった。人とのつきあいを、心から楽しんだ。将来を見据えて打算で人とつきあったりはしなかった。めったに人に頼みごとをしなかった。だからギルトに関してアドバイスや紹介やアポイントを求めてメールを出すと、誰もが温かく前向きに承諾した。

疲れたので、本日はここまで。ではでは、blankfeinでしたー。