サントリーの経営を知る上で、実は重要な「寿不動産」について調べてみたよ。
おつおつ、blankfeinです。
本日は、サントリーの経営を知る上で、重要な「寿不動産」について述べたいと思う。「コトブキフドウサン」と読む。あまり見慣れないワードだが、これ、キリンとの経営統合のときに話題になったり、同社の経営を考えるにあたっては、避けて通れないワードなので、紹介しておく。
寿不動産とは
寿不動産とは、
- 大阪市北区堂島浜2丁目1番40号
- 設立1956年
- 代表者 佐治信忠
- 資本金1億2200万円
- サントリー関係会社株式の管理、不動産賃貸業および保険代理業を行う
あたりが基本情報。でも、こういう情報はそんなに重要ではない。
主要株主
- 1位：サントリー芸術財団
- 2位：サントリー文化財団
- 3位：佐治信忠
- 4位：鳥井信吾
- 5位：酒井朋久
です。これは覚えておきたい事項。だけど、一番大事なのは以下。
寿不動産は、サントリーHDの主要株主
寿不動産で一番押さえておくべきことは、サントリーホールディングスの主要株主だよってこと。サントリーホールディングスの発行済株式の89.32%を保有していて、実質的な持ち株会社とも言われるている。まあ、同族企業が支配権をおさえながら、上場するスキームをつくったりするとかに使われるようだ。
Business Journalにいい記事があったので、載せておく
- サントリー食品インターナショナルの上場は、1兆円規模の大型IPOになる
- サントリーHDは市場から最大で5000億円前後を調達、この資金を海外のM＆A（合併・買収）案件に充当する。
- 09年2月に持ち株会社、サントリーHDに移行したのは、M＆Aに力を入れるため
サントリーは当時、数年以内に海外の売り上げを5000億円、海外売上高比率を21％から25％にまで高める方針で、同社は、09年2月にニュージーランドの飲料大手、フルコアを750億円で買収したり、同年9月には仏飲料大手、オランジーナ・シュウェップスを3000億円で買収したり、今年6月には中国の青島ビールと中国国内でのビール販売強化のために合弁会社を設立すると発表したりで、けっこう攻撃的に来てる。
サントリーはビール会社ではなく、食品会社
- 10月には米清涼飲料大手、ペプシコのベトナム現地法人に過半数の出資をすることで合意
- 12月には「ジムビーム」などで知られる米2位のバーボンウイスキーメーカー、ビームの買収を検討していることが明らかになった。
- サントリーといえばビールや洋酒のイメージが強いが主力は飲料・食品である。
サントリー食品の11年12月期の売上高は9706億円で、サントリーHDのそれ（1兆8028億円）の5割強を占める。ビールやウイスキーなどのサントリー酒類は5237億円、ワイン、健康食品や外食事業の3部門の合計で3085億円。意外に、サントリーはビール会社じゃなく、食品会社なのだ。
加速するM＆A戦略
- 海外でのM＆Aを加速させた結果、11年12月期の長短借入金と社債の残高が6629億円に膨らんだ。
- 海外企業の買収額は年々高騰しており、スイスのネスレや仏ダノンに対抗してM＆Aを続けるには、銀行からの借り入れに頼る経営では限界が見えてきた。株式を公開して資金調達のパイプを多様化するのは当然の選択だ。
三菱東京UFJがブリッジローンを組んだりもしてたよね。サントリー社内には、M＆Aの専門部隊もいるとの話を聞いた。
寿不動産が原因で、キリンとの経営統合が破談に
- 持ち株会社を上場させるのが普通だが、サントリーは親会社は非上場のままで、中核子会社を上場させる。こういうイレギュラーな上場方法を採ったのは、お家の事情があるからだ。
- サントリーHDは創業家の資産管理会社、寿不動産が発行済み株式の89.32％を保有する同族企業だ。10年に世紀の大型合併といわれたサントリーHDとキリンホールディングスの統合交渉が破談したのは、寿不動産の存在がネックになったからだ。
世界第5位の総合食品・酒類カンパニーになるはずだった統合後の新会社で、寿不動産に3分の1以上の株式を持たせるかどうかをめぐって両社は対立。
3分の1以上の株式を保有すれば、株主総会において重要事項に対する拒否権を持つことになってしまって、実質的に経営を支配できてしまう。
で、統合後の新会社は、寿不動産の株式を保有するサントリーの創業家一族がオーナーになる。という経緯もあって、不動産の扱いで交渉が決裂。
キリンは三菱グループを代表する企業で、三菱グループの「金曜会」の長老たちが、「鳥井・佐治一族にキリンを売り渡していいのか」と猛反対したという話も。
疲れたので、本日はここまで。ではでは、blankfeinでしたー。
