2年連続で観光都市ランキング世界1位に認定された京都に足りないもの

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京都 観光都市 世界一   少し前の話題になるが、世界的な観光誌「travelandleisure」において、京都は世界の名だたる観光都市の中で世界第1位に選ばれた。しかもこれは2年連続の快挙だ。

注目に値する情緒ある料理、そして歴史的な観光名所、舞妓などの伝統芸能、これらはこれまで京都という街が長い歴史をかけて守ってきたものであり、半ば装置産業として機能していると言っても過言ではない。培ってきた時間が相当長いだけに、そう簡単に崩れ去ってしまうものでもないだろう。しかし、安心はしていられないのもまた事実。京都には足りていない部分があるのもまた事実なのだから。

まあ、まずは世界の観光都市トップ10を見てみよう

暗いことを語る前に、まずは世界の観光都市でベスト10に選ばれた場所を見てみよう。   ※2段目はスコア 1.京都(日本) 91.22 2.チャールストンサウスカロライナ州) 89.84 3.シェムリアップカンボジア) 89.57 4.フィレンツェ(イタリア) 89.43 5.ローマ(イタリア ローマ) 88.99 6.バンコク(タイ) 88.91 7.クラクフポーランド) 88.69 8.バルセロナ(スペイン) 88.59 9.ケープタウン南アフリカ) 88.27 10.エルサレムイスラエル) 88.18   こう見ると本当に凄い。この豪華なラインナップの中で1位に輝いているのをみると、いかに世界的に京都が注目されているのかが分かるだろう。   風景や文化、レストランが好評化を受けたほか、公衆無線LANの充実など外国人観光客の受け入れ環境を着実に整備したことも背景にあると思われる。なお、産経新聞によると、14年に京都市を訪れた観光客は過去最高の5564万人で外国人宿泊客数は183万人にものぼったそうだ。   京都 観光都市 世界一   最近、京都の伏見稲荷大社でも外国人だらけだし、そりゃそうだって感じだが。   [blogcard url="http://www.travelandleisure.com/"]

自意識過剰に陥っている日本人

これに対し、Webメディア「Courier」はイギリスのジャーナリストの記事を引用し、京都、ひいては日本人の自意識過剰さを嘆いています。   今回、京都は世界ナンバーワンの観光都市として選ばれましたが、あくまでもこれは実際に外国人が訪れた人数ではありません。というか、京都への訪問数は世界96位に過ぎません。   つまりは、潜在能力が世界の観光都市の中でナンバーワンというわけです。「これから来る人」を呼ぶための装置としての魅力はナンバーワンだが、そこに観光戦略は絡められていないわけです。これは、日本を訪れた口コミで確認してもわかることであると 「Courier」は指摘しています。ホテルは増えないし、渋滞も減らない。これでは訪日外国人の評価が上がらないのはたしかに当然ですよね。この間、紅葉の時期の京都を訪れましたが、京都駅から清水寺までいくのになんと1時間。これは距離で考えればあり得ないことです。

和食は日本人が思っているほど評価が高くない?

和食って世界的にかなり確固たる地位を築いていると思っていませんか?我々が当たり前のように思っていることですら、事実誤認であると「Courier」は指摘します。  

「和食が世界でブームだ」と言う人がいますが、これも思い込みです。証明してみましょう。「ぐるなび」で調べると、東京23区で洋食店は5,618軒あります。これを基準に、ヨーロッパで和食店を東京と同じくらいの普及率にするには何軒必要か計算してみると、18万7257軒となります。   ですが現実は、農水省の推計によると、わずか5,500軒です。たしかに和食はおいしいですが、それを実際に海外で浸透させるような大規模な動きは存在していないのです。にもかかわらずブームと言っている人は、何の数字の裏付けもなく語っていたわけですね。

  京都市内でも和食の魅力を存分に発信できているとは言えません。これは本来、街をあげて発信・PRしていくべき部分なのですが、街自体が自意識過剰に陥り、しっかりと認識できていないからでしょう。京都は2年連続で観光都市として世界1位に選ばれましたが、今後は自らのことを観光立国であると誤認せず、観光客に向けてもっと街全体の環境整備、魅力発信等をもっと地道にしていくべきであると思います。内需なき今、頼るべきものは外需なのですから。

最後に

私は「Courier」を引用して記載しましたが、一部賛同できない部分もあります。それは以下の部分です。  

あなたが海外旅行の行き先を考えるときに、その国のマナーや治安が旅の目的になりますか? ならないですよね。だったら、なぜ日本人にとって観光の動機にならない特徴が外国人になら通用すると考えてしまうのでしょう。   マナーや治安が観光において有利というデータがあれば話は別ですが、それは確認できません。たとえば、世界で一番治安がいいとされるアイスランドの年間観光客数は、わずか80万人しかいません。   「おもてなし」を目当てに外国人観光客が来る、なんてことはあり得ないのです。実際、日本の観光客は増えていると言いますが、せいぜい1000万人を超える程度で、フランスの8分の1くらいにすぎません。しかも内訳は台湾や中国など、近隣のアジア諸国が大半です。ヨーロッパから日本に来る観光客の数は約100万人。数千万人を集める観光大国と比べると、いないも同然なのです。

  たしかに、こういった捉え方もできるのはできるのですが、実際のところ「治安」という部分は非常に重要に思います。旅行に行った際、わざわざ怖い場所にいきますか?ニューヨークに行って、夜のブルックリンを1人でほっつき歩く人間なんでまずいないでしょう。そういうことです。日本から今の「治安」がなくなれば観光客数は確実に減少します。   「おもてなし」はまた別の側面で重要です。日本人は自分たちが思っている以上に街の人間ですら優しいと思います。海外ではレジで歌いながらのびのびと適当にしている従業員もいますし、明らかに外国人を良しとしない人間もいます。こういった国に1度は行っても、もう1度行きたいとはならないでしょう?京都の料亭などは、本当にキメの細かいサービスをします。このサービスを1度受けた人間は、もうこの思い出深きサービスを忘れることはできません。おそらく「Courier」で記事を書いた筆者は、京都を訪れたことがないのだと思います。   こういった記事が出るのも、京都が注目されている証拠ですし、同じ日本人として少しでもできることを頑張っていきたいところですね。